正しい味覚とは、地味な食べ物の『滋味』が感じられる、
後天的に育っていく味覚を、育てていくしかないですなー
と言うお話を・・・。
子供の時に食べられなかった物が、大人になってから
食べられるようになっていく経験を、誰もがしていると思います。
子供の味覚は動物のように、栄養素を摂取する事に忠実です。
だからカロリーのない物は、好きではないはずです。
例えばピーマンやネギなど、カロリーが無く苦味がある野菜など
嫌いだし、我々も嫌いだったはずです。
好きな野菜はさつまいも、じゃがいも、かぼちゃ、とうもろこしなど、
カロリーが高いものを好むんじゃないかと思います。
大人になると、そのように苦手だったピーマンやネギなどが
食べれるようになってきますよね。(今でも苦手な方、スミマセン)
色んなものを味わってきた味覚体験が、食べれるものの幅を
広げていくと思うんです。
特に嗜好品などは、その傾向が強いものが多いですよね。
例えばコーヒーをブラックで飲んで、最初からおいしいと
感じる人は、極々少数ではないでしょうか。
最初はかっこつけて「やっぱしコーヒーはブラックやろ。」
とか言いながら、心の中では「にがくて、まずいなー!」
と、顔を引きつらせながら、飲み続けて行くうちに
その苦さの奥にある甘さや、芳醇な旨味を感じるようになってから
ですよね。砂糖無しのコーヒーを飲めるようになるのは。
ビールなんかもそうですよね。
最初はただただ苦くて、飲めたものではないですよね。
そうそう、ビールと言えば・・・・。
むかしドライビールが出始めの頃、当然ワタクシも
「やっぱしビールはドライに限るなー。」とか言ってました・・・。
「この苦味がドライやなー。」とか分かったような事、言ってました・・・。
そして家飲みも外飲みも当然のようにドライ。
すると『美味しんぼ』に(よく美味しんぼが出てきますな・・・)ドライビールの
味をあーだこーだと書いていて、その対極としてエビスビールが
紹介されてたので、すぐに影響されてしまうミーハーなワタクシは、
「やっぱしビールは、麦芽とホップだけで作られてるビールが本物!」
「ビールはやっぱしエビスやろ。」と、何事もなかったかように、
ドライからエビスビールに、コロッと鞍替えしてしまう有様・・・。
その頃は今と違ってそこそこ稼ぎのいい仕事についてましたし、
まだ独身でもあったので、毎日の晩酌はエビスかモルツか・・・。
なんて、恐ろしく贅沢な日々を送ってました。
(いやー懐かしいな~。二度と訪れないであろう過ぎ去りし日々・・・)
それまで何の知識もなかったのに、これを境に
「本当のビールとは、麦芽とホップだけで作られて・・・。」とか
ウンチクをたれながら、ビールを飲む嫌な奴に変身してしまいました。
そんな日々が1年位過ぎた頃でしょうか・・・。
炎天下の夏、ビールはドライしか手に入らないというシチュエーション。
喉が渇いた・・・ビールがビールをビールがビールをビールがビールを
飲みた~~~イ!!! 今すぐ何でもいいから飲みた~~~イ!!!
と脳内のビールモードにスイッチが入ってしまったので、もう止まらない。
「そういえばドライも、久しぶりやな~。」
と思いながら、喉の渇きを潤すために一気にグビーと。
「・・・・あれ?これは・・・何かが違うな???」
うまく表現出来ないですが・・・ビールとしてのコクが感じられず、
薄っぺらい味・・・ビールの苦味とは違う、舌の奥に残る異質な苦味・・・
・・・口の中に残るいやな酸味・・・。(もちろん個人的な感想です)
そうか・・・『美味しんぼ』に書いてた事は、こういう事だったのか・・・。
と初めて知識ではなく、本当に身体で違いが分かったという体験をしました。
これはカッコつけてエビスやモルツ、要するに麦芽とホップだけで作られた
ビールを飲み続けた結果、やれ米だコーンスターチだとか、それ以外に
醸造の過程で『?』が付く様なビールもどきに、違和感を感じ取れる味覚が
備わったと言う事なんでしょう。
こんな『ほ○だし』で培った味覚レベルのワタクシでも、訓練によって
正しい味覚を育てる事が出来るぞ、と言いたかったんです。
まだ、この話は続きます。